2011年1月21日金曜日

海外で日本のTVを見ることについて

「テレビ番組海外転送 利用者指示での録画も違法 最高裁
 日本のテレビ番組の海外転送が著作権法に違反するかが争われた訴訟で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は20日、利用者の指示を受けて録画する方式のサービスについても「業者の管理、支配下で放送を受信し、複製される場合には著作権法に違反する」との判断を示した。
 その上で、サービスを適法とした二審・知財高裁判決を破棄。今回のケースではどの業者が機器を管理していたかはっきりしないとして、審理を知財高裁に差し戻した。
 18日には録画せずにリアルタイムで番組を転送するサービスについても、別の小法廷が違法とする判決を言い渡しており、業者が介在して日本の番組を海外在住者向けに転送するビジネスは閉ざされることになりそうだ。
 「ロクラク」の名称でサービスを提供していた日本デジタル家電(浜松市)が、NHKと東京、静岡の民放9社から訴えられていた。 (asahi.com2011年1月20日15時8分)」

 目の付け所はいいと思うんですけど、やっぱり他人の作ったものを勝手に流したりコピーしたりすることは許されません。
 知的財産権は無体財産権で、所有権が必ずしも占有権と結びついていないし、技術の進歩でコピーなどが容易になったから、問題は起こりやすくなっています。

 しかし、今回の原告のテレビ局は、どうせなら被告の会社を買い取ってしまって、自分で海外に配信すればサービスも継続できるし、収入も上がるんではないかな。

 それとももう自前で持っているんでしょうか。
 私は、自分自身があんまりテレビを見ないもので、そういう点はよく知らないんです。
 
 私が父親の仕事の関係でアメリカに在住していたのはもう40数年前で、今より地球はだいぶ広かったです。
 直行便がなくて、DC8が一度ホノルルに下りて、それからメインランドに向かったという時代でした。
 東京オリンピックは、衛星中継で見ました。
 当然通常の日本のテレビを見ることなど考えられませんでした。

 そういう点では本当に地球は狭くなっているんですね。
 

2011年1月20日木曜日

ヴァンフォーレ商標はどうなっているんでしょう?

まず、アサヒコムです。
「VFシンボルマーク 使用差し止め求め提訴
 サッカーJ1に昇格したヴァンフォーレ(VF)甲府をめぐり、前身の「甲府サッカークラブ」で監督や代表を務めた甲府市の男性(74)が、シンボルマークの使用差し止めなどを運営会社に求めて、東京地裁に提訴したことが18日、わかった。
 訴状などによると、男性は1997年に営業権を運営会社の「ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ」に2億4800万円で譲る契約をした。同クラブは、男性名義でユニホームや看板に使用されるマークやロゴの商標権を取得。
 クラブ側は男性に月約90万円を支払っているが、譲渡代金は支払っていないという。
 男性は2009年、譲渡代金の支払いを求めてクラブを提訴。クラブ側は1億円で商標権を買い取る和解案を示したが、拒否した。
 クラブ側は「営業権はクラブが引き継ぎ、契約は無効。男性にシンボルマークの使用を差し止める権利はない」としている。 (2011年01月19日)」

続いてヨミウリオンライン。
「ヴァンフォーレ商標権、弁理士が無断抹消してた
サッカーJ1に復帰したヴァンフォーレ(VF)甲府の運営会社「ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ」が雇った弁理士が2009年、チームエンブレムなど三つの商標権を、名義人でチームの代表者を務めた男性(74)に無断で抹消していたことが19日、わかった。
 男性は商標権の回復を求めて提訴し、翌10年にエンブレムを取り戻した。
 訴状によると、弁理士は2007年、同社名義でチーム名のロゴなどを商標登録申請したが、すでにチーム名入りのエンブレムが男性名義で登録されており、特許庁が拒絶。このため、弁理士は、男性の許可を得ずに男性名の印鑑を使い、自らを代理人とする委任状や商標権の抹消登録申請書を作成して提出し、09年3月に男性名義の商標権を抹消した。
 男性は同年8月、商標権の回復を求めて運営会社と弁理士を相手取り東京地裁に提訴した。
 男性の弁護士や運営会社によると、訴訟では運営会社が「弁理士の判断で行われた」と主張し、弁理士は、「(チームの代表を務めていた)男性名義の商標は実質チームの所有と考え、私の一存で抹消した」と説明。男性は運営会社に対する提訴を取り下げ、昨年10月に弁理士との和解に応じた。特許庁は商標権を回復した。
 男性は09年12月、この提訴後に、運営会社を相手取りチーム営業権の譲渡代金の支払いを求めて民事訴訟を起こし、さらに今月18日、チームエンブレムの使用差し止めを求め提訴した。
 運営会社は読売新聞の取材に対し、「男性と我々との複雑な事情を弁理士が理解していたのかどうか。どうしてあんなことをしたのか分からない」としている。弁理士は「何も言えない」と話している。(2011年1月20日13時36分 読売新聞)」

 IPDLで検索してみると、ヴァンフォーレ甲府がらみの登録商標の商標権者は、現在の運営法人名又は、私の確認できる範囲で2006年3月に現運営会社の非常勤取締役に就任した男性となっております。
 この方は、甲府市内の会社社長のようですが、「甲府サッカークラブ」で監督や代表を務めたかどうかは確認できませんでした。
 まだ詳細が明らかではありませんので、これ以上は差し控えますが、それにしてもヨミウリオンラインの「チーム名のロゴなどを商標登録申請」って、脱力します。
 読売に限りませんが、報道では「申請」がしばしば「出願」の意味で誤用されています。
 クレームはないんでしょうか。

 って、私も気づいてもクレームしたことはありませんが。

2011年1月18日火曜日

ひこにゃん考(2)

では、裁判所はどんなスタンスで取り扱ったのか。

「大阪地裁は昨年12月24日、両者が民事調停で合意したことを踏まえ、「市側は合意に違反して3ポーズ以外のグッズを許可し続けている。差し止め請求は信義に反し、権利の乱用だ」と判断し、市の申し立てを退けた。」(朝日新聞2011年1月8日夕刊)

つまり、不正競争防止法についての判断以前の問題だ、としたわけです。

民法にはこう書いてあります。
第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。

彦根市は、知財問題として提訴しましたが、いわば門前払いです。

ちなみに、新聞の翌朝の地方版では、彦根市長の談話の一部として遺憾記事がありました。

「また、彦根市のぬいぐるみ製造販売の許可は調停合意に違反していると大阪地裁から指摘された点について、『決定の理由付けには拘束されない』と述べ、今後も許可していく考えを明らかにした。」

そりゃそうかもしれないけど、この人と一緒に仕事はできないな、と思わざるをえません。
まあ、あちらさんも別にお声をかけてはくれないでしょうが。

2011年1月17日月曜日

「ひこにゃん」考(1)

先日のひこにゃんについての報道で違和感を感じたのは、「『著作権と商標権が侵害されている』として不正競争防止法に基づく仮処分を申し立てた。」(朝日新聞2011年1月8日夕刊)という点です。
著作権と商標権が侵害されているのなら、著作権法と商標法に基づいて請求すればよいことですから。

そこで、「著作権と商標権が侵害されている」ことを主張立証する根拠がなかったのではないか、と思われるのです。

著作権については、市側が「買い取った」という契約の内容が正確にはわからないのでなんとも言えない部分があります。
とはいえ、著作権侵害が成立するためには、既存の他人の著作物(原作品)を「利用して作品を作出」すること(依拠性)が必要です。

また、ひこにゃんについての登録商標の内容ですが、商標登録第5104693は、標準文字の「ひこにゃん」で、図形はありません。

仮処分の請求内容も詳細がわかりませんが、不正競争防止法の2条1項1~3号のいずれかを根拠にしたのだと思います。
(続く)

2011年1月16日日曜日

職業は弁理士です

砂川惠一と申します。

職業は弁理士です。

知財の話や、その他何か面白いことがあったら、書いていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。